映画「明治天皇と日露大戦争」
1957年(昭和32年)に公開された日本映画「明治天皇と日露大戦争」。
今から50年も前の作品ではあるが、当時は日本映画最高の技術(大シネスコ)を駆使した空前の超大作でした。その製作を記念し発行されたパンフレットの内容に依りますと、
解説
この映画は、イーストマンカラーに依る我が国で初めての本格的総天然色ワイドスクリーン映画で、(35粍スタンダード版も総天然色で同時撮影を行う)創立10周年を迎えた新東宝が、大蔵貢社長総指揮のもとに総力を結集、日本映画史空前の2億と云う巨費を投じて製作する超大作である。
脚本は、渡辺邦男の原作から館岡謙之助が執筆に当り、撮影所長・渡辺邦男(総監督)毛利正樹(応援監督)の両監督が演出に当る。
ストーリーは、徳川300年の封建制を打破して世界の列強に伍し上に歴代天皇中の英帝明治天皇を戴き、万民一致して近代国家への前進を始めた日本が、その富国策の過程で最初につき当った国難、即ち日露戦争に際して、如何に苦斗善戦してこれに大勝利を博し以後、アジアン盟主として、その優秀性を広く世界に示したかを描くもので、その至難な時代に於ける天皇の慈愛、苦悩更にその御心に応い全国民の赤心、忠誠、そして、未曾有の戦中に綴られた雄渾血を沸かす幾多感激のエピソードが豊富に盛り込まれている。
又、これを演ずる演技陣は、主役の明治天皇に扮する嵐寛寿郎の他、藤田進、田崎潤、明智十三郎、天城竜太郎、小笠原竜二郎、宇津井健、高島忠夫、若山富三郎、丹波哲郎、竜崎一郎、舟橋元、和田孝、中山昭二、沼田曜一、高田稔、江川宇礼雄、阿部九州男等のスターが総出演、錦上更に華をそえる。
新東宝の大シネスコとは
この映画は、我が国最初の本格的大型作品として製作、公開されるものであるが、使用される撮影法式は、フランス、D・I・C社の「シネ・パノラミックレンズ」によるもので、最新ミッチェル撮影機に取りつけて、劇用、特撮用にと、駆使されている。
シネスコ方式は元々、フランス、ソルボンヌ大学のアンリ・クレティアン教授の発明になるハーバーゴナア歪曲レンズを20世紀フォックス社の技術陣が完成したもので、これが正式に「シネマスコープ」と呼ばれ以後、各社が、この原理に立って応用創成したものが、R・K・Oの「スーパースコープ」をはじめ各種ある。
この原理は、普通の35ミリフィルムをスクリーンフレームの内部に通常の横幅の2倍の画像を収容することを狩野にした歪曲レンズを、普通の撮影機の前に添付して撮影するもので、上映に当っては、映写機に撮影機と同種類のレンズを取り付ける事のみによって迫力ある画面が展開されるのである。
第一回作品は1953年の「聖衣」で、以後、各国に於いて続々製作されるに至った。尚、シネ・パノラミックス方式は、既にソ連(現ロシア)、イタリア、フランス、ポルトガル、イギリス、アルゼンチン、アメリカで使用され、我が国既封切作品には「水色の夜会服」、「リスボン」、「男の世界」等がある。大シネスコの名称を以て世界では9番目の名乗りであるが、名実共に日本最初の大型映画として、いち早く世界市場への進出をはかる画期的な作品である。
早くも寄せられた全国民期待の声!
- 東京都大田区 岩瀬英一郎氏(三越社長)
- 日露戦争は、ロシアの侵略に対抗した自衛予防戦であった事。国土を守り民族の自主独立を確保する事は自分自身の生命を守ると同様すべての基本条件である事を映画を通じ民衆によく分る様にして貰い度い。
- 栃木県西那須野町 大山柏氏(大山巌令息 学者)
- 結構な御計画と存じ、折角その大成を念願仕ります。
- 東京都世田谷区 桜井忠温氏(「肉弾」著者)
- この大胆不敵な映画を企画されたことを驚嘆し敬意をささげる。明治大帝の御威徳が日露戦争を通じてヒシヒシと胸を打つものがあるし、大帝がこの世に在すことをこの映画が導いてくれる。戦場の光景も如実に映出されるであろうし、シネスコによる効果も大きかろう。日露が悲しい戦争をしなければならなかったことを思うとき、国交が調整された今日、お互いに昔を思うて再び不幸をくり返したくない。この映画もその使命のもとに大いなる反省の資となるであろうことを信ずる。渡辺監督の長い経験と手腕があればこそこの大作が完成されたのだと、心から景仰の念をささげる。
- 金森徳次郎氏(国会図書館長)
- 立派な作品を期待します。
- 群馬県館林市 飯島連次郎氏(県教育委員長)
- スケールの雄大。日本再建のため必見を要する傑作と思う。見られる日を待望する。
- 東京都目黒区 木下一雄氏(都教育委員会委員長)
- まことに意義深い企画と存じます。
- 仙台市 八木洋太郎氏(宮城県父母教師会連合会会長)
- 我々の祖先の愛国献身の精神を、ヒューマニズムと織りなして展開されるよう念願します。間違っても戦争礼賛の気持ちを持たせぬよう切望いたします。
- 東京都港区 遠藤芙美子氏(会社員)
- 出来得る限り真実性のあるものにして下さい。この映画で明治天皇の人間性を知りたく思います。御成功を心からお祈り致します。
- 滋賀県彦根市 秋口 記(学生)
- 我々学生間では今までの戦争映画は全く見に行こうという意見は出ず、よくもあの様な映画を作るものだと誰もが話します。今度、貴社の製作されつつある映画については大賛成です。真実の歴史を追って展開される大シネスコを大いに期待するものです。
(パンフレットより抜粋)
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